私たちは日々、テレビや携帯電話、店舗や街頭のディスプレイなどで多くの映像や写真画像を目にする機会があります。映像や写真画像は非常に大きいサイズのデータですが、大きいサイズのままのデータでは保存するメモリーやメディアの容量を使い、送受信するにも時間がかかりそれだけコストがかかります。データを圧縮すると何倍ものコストを削減することが可能となり、ユーザーのストレスも解消されます。しかし、圧縮率を高めることにより画像の劣化が発生し、処理にかかる負荷も大きくなります。今回は動画や静止画における「画像圧縮技術」について解説していきます。
基本は冗長部分の削減。数多くある圧縮規格。
そもそも画像圧縮はどのように行われているのでしょうか。基本的な方法は、データの冗長部分を決まった計算方法で減らすことで圧縮しています。例えば、静止画の圧縮形式としてよく使われるJPEG形式では、多くの点からなる小さいブロックに画像を分割し、1ブロックごとに明るさと色の情報を周波数に変換。0に近い数値になる高周波成分を読み取らないことでデータ量を減らしています。さらに動画の圧縮の場合は、小さく分けたブロック内で次の画像とデータを比較。変化のあった部分のみのデータを送ることでデータ量を減らしています。
静止画の圧縮規格は1992年頃に登場したJPEG形式が一般的になりましたが、動画の圧縮規格には用途に応じて次々と新しい規格が登場しています。1990年にテレビ電話など向けに登場したのがH.261。1993年にはビデオCDに使用されたMPEG-1が登場。1995年にはDVDやBlu-rayに使用されるMPEG-2。1999年にはデジタルカメラやインターネットの動画に使用されるMPEG-4。2003年にはワンセグ放送などに使用されているH.264/MPEG-4 AVC。2013年にはスーパーハイビジョン放送に使用されるH.265/MPEG-H HEVCが登場しました。圧縮率はMPEG-1と最新のH.265/MPEG-H HEVCを比べるとおよそ8倍の圧縮率となります。しかし、圧縮再生時にかかる処理負荷は十数倍ほどになるとされ、使用するデバイスの処理能力の向上も重要となります。
元に戻せる可逆圧縮、戻せない不可逆圧縮。
画像の圧縮においてもう一つ重要なポイントがあります。可逆圧縮、不可逆圧縮であるかという点です。圧縮した画像を元に戻した際、全く同じ画像に戻るものが可逆圧縮。元に戻らないものが不可逆圧縮です。JPEG、MPEGなどの圧縮規格は通常不可逆圧縮となります(可逆圧縮可能なものも有り)。
可逆圧縮は画像劣化がなく元の画像に戻りますが圧縮率が小さくなります。不可逆圧縮では、情報をブロックに分けて変換して圧縮しているため、元に戻した際にブロック間で差が出て画像が崩れる事があります。圧縮率が低ければ人間の目では分からない程度の差になりますが、圧縮率が上がると一目で分かる程度に画像が崩れてしまいます。これを解消するため、変化量の大きさによってブロックの大きさを最適化したり、圧縮前のデータを一度最適化したりするなどさまざまな方法が開発されています。
独自アルゴリズムの処理により既存技術で高圧縮率高画質を実現
ノバテック株式会社のnMedia Codec Superchargerは、元の画像を独自のアルゴリズムで圧縮に最適な状態になるように一度変換。変換後は既存の画像圧縮技術を用いても数倍の高圧縮率で圧縮され、画像の崩れも非常に少なく処理する事が可能となっています。例えば、JPEG形式のファイルならば同じ画質の場合約8倍の高圧縮率を実現しています。また、可逆圧縮方式を用いたnMedia Lossless Turbochargerは、画像の劣化が許されない医療分野をはじめとした各分野への応用が可能となります。
WEB上でのデータのやり取りが一般的になった現代において、nMedia Codec Supercharger とnMedia Lossless Turbochargerは有用なツールとして今後の活用が期待できます。
要約文:
画像圧縮とはどのような技術なのか。そのメリット、デメリットは?画像圧縮技術の基本的な原理や、画像圧縮技術規格の変遷を解説すると共に、既存の圧縮技術を使ったソフトであってもより高い圧縮率を実現する新たな技術を紹介します。